自社製品の準備編|新製品を作る前に整えるべきこと

新製品を作る。

そう聞くと、多くの方は「今まで世の中になかった新発明」を想像するかもしれません。

率直に言えば、まったく新しい発明をする人は、こういった記事を読む必要はあまりないと思います。

自分の困りごとは、他人にとってはもっと大きな困りごとかもしれません。

●海外で感じた不便が、現地で生活している人にとっては日常の悩み?
●仕事の中で感じた手間が、同じ業界の人にとっては大きな負担?

新製品のヒントは、そういう小さな違和感の中にあるものです。

本当に新しい技術を持っていて、すでに特許レベルの発明がある。
研究開発部門があり、資金もあり、開発チームもある。
そういう大企業であれば、最初から専門家を入れて、開発、知的財産、認証、量産、販売戦略を進めればよいと思います。

最初は、真似事に一つPLUSでいいのです。

もちろん、他社の権利を侵害するような模倣品を作ってよいという意味ではありません。
前回にように、商標、意匠、特許、実用新案などの知的財産を確認することは非常に大切です。

※前回記事はコチラ

見るべき視点考えること
既存品の不満ここがもう少し便利なら使いやすいのではないか
自分なら変えたい部分この機能、形、価格、説明を変えたら売りやすいのではないか
国や地域の違い日本では普通でも、海外ではまだ足りないのではないか
一つ足せる機能この商品に一つ機能を足せば、もっと使いやすくなるのではないか
一つ減らせる機能壊れやすい部分、分かりにくい部分を減らせないか

①弊社の場合|海外の痛い経験からの商品製作

弊社の場合も、最初から完璧な製品を開発したわけではありません。

きっかけは、開発者自身の海外での経験でした。

インド出張中、食中毒になったのです。

海外で体調を崩すこと自体かなりきついですが、その時に強く感じたのが、トイレの不便さでした。
トイレにずっといると、それはもう地獄だったのです・・・

その時に思いました。

これは海外で売れる!

ただし、その時点で自社製品があったわけではありません。
創業時は、某大手メーカー品に変圧器を付けて、海外向けに販売していました。

実体験商品化のヒント
海外出張中に食中毒になった体調が悪い時ほどトイレ環境の不便さを感じる
海外では洗浄便座が当たり前ではない日本では普通のものが海外では価値になる可能性がある
トイレ環境に不満を感じた衛生面の悩みは国を超えて存在する
自分が困った他人にとってはもっと大きな困りごとかもしれない
海外で売れると思ったまず既存品で市場の反応を試す

つまり、「確かな不便がある」と感じたのです。

新製品を作る時に大切なのは、最初から完璧な商品を持っていることではありません。

まずは、誰が何に困っているのかを見つけることです。
自身のストーリーは少なからず必ず強い共感を呼びます!


②既存品で試すことも大切

新製品を作ると聞くと、最初から自社ブランドの商品を作らなければならないと思う方もいます。
しかし、最初からそこまでやる必要はないのです。

最初にできること内容
既存商品を販売してみるまず市場の反応を見る
海外で売れている商品を試す日本や別の国でも需要があるか確認する
OEMできそうな商品を探す完全開発ではなく、既存品ベースで始める
既製品にロゴを入れる小さく自社ブランド化する
一部仕様だけ変更する売る市場に合わせて調整する
小ロットでテストするいきなり大量在庫を持たない

このような形でも十分です。
大切なのは、まず市場の反応を見ることです。

自分が良いと思っていても、市場が反応するとは限りません。
逆に、自分では小さな不便だと思っていたことが、実は多くの人にとって大きな悩みだったということもあります。

弊社も最初からKireiを作ったわけではありません。
しかし、販売してみると大問題の山積みです。

×海外で使用していると、なぜか商品が壊れる
×壊れた商品は返品になる。
×返品=お客様に多大な迷惑+自身に大きな負担

原因が分かりませんでした。

ようやく分かったことが、水の違いです。

日本の水は、一般的に軟水です。
一方、海外では硬水の地域がほとんどです。

硬水は、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分を多く含む水です。
電気部品やモーターを使う製品の場合、この水質の違いが故障を誘発していたのです。

そこで考えました。

●そもそも壊れる原因部分なんていらなくないか?
●モーター以外の動力はないか?

この発想から、電気やモーターに頼らない水圧式洗浄便座という方向性が見えてきました。
完全に新しい発明をしたというより、現場で起きた問題から逆算した真似事です。

起きたこと考えたこと商品化の方向性
海外で既存品を販売した売れる可能性はあるまず市場性を確認する
なぜか壊れた日本と海外の使用環境が違う現地環境を見る
返品になった故障リスクを減らしたい壊れにくい構造にする
水質の違いがあった硬水でも使いやすくしたい水質に強い商品にする
モーターが故障要因になるモーターがない方がよいのでは水圧式にする

この流れで生まれたのが、Kireiです。

・実際に売ってみる
・使ってみる
・壊れる
・クレームを受ける
・現地で困る

海外用に開発した製品が、
今では日本のお客様に喜ばれて大手量販店に販売いただける・・・

新製品開発とは、狙い通りに進まない連続なのです!


③既存品に一つアイデアを足す

新製品を作る時、最初からまったく新しいものを作ろうとすると、かなり難しくなります。
しかし、既存の商品に一つアイデアを足すと考えると、現実的だと感じるようになります。

困りごと加えるアイデア商品化の考え方
取り付けが難しい工具なしで取り付けできるようにする誰でも扱いやすい商品にする
海外で壊れやすい電気部品やモーターを減らす使用環境に強い商品にする
説明が分かりにくい操作をシンプルにする売場でも説明しやすい商品にする
既存品が高い必要な機能に絞る手に取りやすい価格にする
日本仕様のままでは海外で使いにくい電圧・水質・言語・梱包を現地向けにする販売する国に合わせる
売場で特徴が伝わらないパッケージやPOPで一言訴求する買う理由が分かる商品にする
故障時の対応が不安保証書・交換対応・問い合わせ先を整える販売店が扱いやすい商品にする

大切なのは、ゼロからまったく新しいものを作ることではありません。

今ある商品を見て、
●どこに不便があるのか
●どのように一つ改善できるのか。

この視点を持つことで、自社製品の方向性は見えやすくなります。

量販店に提案する場合、あまりにも新しすぎる商品は説明が難しく受け入れられにくいです。

新しすぎる商品の課題量販店側で起きること
何の商品か分かりにくい売場を決めにくい
説明が難しい販売員が説明しにくい
価格の妥当性が伝わらない採用判断がしにくい
使い方が想像できないお客様が購入しにくい
需要が読めないテスト販売になりやすい

一方で、既存ジャンルの商品でありながら、

「ここが改善されています」
「この不便を解決します」
「今までの商品より扱いやすいです」
「海外で困るこの部分に対応しています」

と説明できる商品は、提案しやすい。
つまり商談できる可能性がグッと高まります。


④ 自社製品を作る前に決めるべきこと

自社製品を作る前に、最低限決めておくべきことがあります。
自社でどこまでやるのか!?

・企画して
・設計して
・工場を探して
・サンプルを作って
・金型を作って
・生産して
・品質管理まで

ここまで自分でできる方は、この先を読まなくても大丈夫です。

でも、ほとんどの方はできません。

というより、普通できません。

新製品を作ろうとすると、いきなり色々なことが出てきます。

●設計
●工場探し
●サンプル
●金型
●権利
●規格|認証

高すぎる壁にぶちあたります。
普通は、ここで大パニックになります。

でも、最初に見る場所はそこではありません。

一番最初に見るべきことは、

これは誰の商品なのか。

これが本質です。

・誰が企画するのか?
・誰の名前で売るのか?
・誰の権利で作るのか?
・誰が作ってくれるのか?

ここを決めずに自社製品を作ると、必ず失敗します。
だからこそ、前回の記事でお話しした 知的財産 を最初に押さえる必要があるのです。

※知的財産記事はコチラ

新製品づくりは、いきなり工場探しから始めるものではありません。


⑤ 売る場所を先に決める

次に大事なのが、どこで売るのかです。

商品を作ってから売る場所を考える。

これはかなり危険です。

売る場所を考えてから商品を作る。
つまり「本当に必要としているのは誰か!?」

これが鉄則です。

販売先によって商品設計は変わります。
※見せ方というべきでしょうか

例えば家電量販店とホームセンターでは、販売に対し考え方が違うように弊社は感じます。

販売先商品価格の考え方売場側の考え方提案する商品の方向性
家電量販店少しでも単価の高い商品を売りたい同じ1点を売るなら、安い商品より高い商品の方が売上が立ちやすい機能性、付加価値、保証、ブランド感を出した商品
家電量販店安すぎる商品は売上単価を下げる販売員の営業成績や店舗売上を考えると、低単価商品ばかりでは弱い「少し高くても選ぶ理由」がある商品だけ
ホームセンターできるだけ価格を抑えた商品が合いやすい価格を抑え、回転数で全体の売上と利益を支える分かりやすい機能、手に取りやすい価格、生活密着型の商品
ホームセンター高すぎる商品は動きにくい場合がある売場で自然に手に取られ、回転することが重要価格、実用性、分かりやすさを重視した商品

特に家電量販店の場合、販売員が同じ時間を使って商品を売るなら、安い商品よりも単価の高い商品の方が店舗売上につながりやすいです。

つまり、安すぎる商品を提案すると、消費者には良く見えても、売場側からすると「売っても売上が伸びにくい商品」と見られる場合があります。

一方でホームセンターの場合は、価格を抑えた商品でも、回転が良ければ売場全体の売上と利益を支える商品になります。

そのため、同じ商品でも、家電量販店向けに提案するのか、ホームセンター向けに提案するのかで、価格設定、パッケージ、訴求ポイントを変える必要があります。

●どこで売るのか。
●誰に売るのか。
●その販路では何が必要なのか。

ここがコツだと弊社では考えます。


⑥ 工場探しは最重要課題

工場選びは、価格ではないところが最も重要です。
最も重要視して選ぶべき点・・・

それは「人」です。

弊社も実際に国内外工場まで足を運び、色々な工場を見てきました。
その経験上、工場は見積書だけでは判別不可能です。
もちろん国籍は関係ありません。

Ⅰ.弊社が工場で働かれる方に実際に聞くこと

※常識の範囲内でこっそりリアルをお聞きします。

工場で確認すること何を見るためか見るポイント
最近忙しいですか?会社の安定度を見るため極端に暇そうでも不安。忙しすぎて現場が荒れている場合も注意
長く働いている人は多いですか?従業員の離職率を見るため人がすぐ辞める工場は、給与、経営状態、職場環境に問題がある可能性がある
工場内はきれいですか?品質管理の質を見るため清潔感、整理整頓、部品管理、作業台、完成品と不良品の分け方を見る

Ⅱ.弊社が実際に失敗した経験

実際にあったこと危ない理由判断
文面で残した条件を平気で覆す量産後に価格、納期、仕様、不良対応で揉める不可
指示通りのサンプルが来ないこちらの意図が伝わっていない。量産ではさらにズレる危険
工場が汚い品質管理、部品管理、検品、梱包に不安が残る不可
連絡が遅い・曖昧トラブル時に対応が遅れる注意
担当者と現場の話が違う現場に話が通っていない場合がある不可
修正対応が悪い不良や仕様違いが出た時に改善できない不可

Ⅲ.最後に見るべき大事なところ

大事なところ理由
約束を守るか条件を後から変える工場は危ない
指示通りに作れるかサンプルでズレる工場は、量産でもズレる
現場がまともか工場の清潔感、整理整頓、従業員の雰囲気に品質管理が出る
連絡がまともかトラブル時の対応に直結する
不良時に逃げないか量産後に一番大事
一緒に改善できるか工場は価格表ではなく、一緒に商品を作る相手だから

⑦ 原価と売価が合わなければ商品にならない

新製品を作る時、よくある失敗が原価と売価のズレです。

・作りたいものを全部入れたら、原価が高くなりすぎる。
・量販店に卸すと利益が残らない。
・送料を入れたら赤字になる。
・販促物を作ったら利益が消える。
・不良対応費を考えていなかった。

これは本当によくあります。

商品を作る時は、販売価格から逆算する必要があります。


まとめ

新製品を作る時、最初から大発明を目指す必要はありません。

多くの場合、スタートは真似事でいいと思います。

ただし、他社の権利を侵害する模倣ではなく、既存の商品や市場を見ながら、自分の困りごとや現場で見つけた課題を加えていくことが大切です。
それこそオリジナリティーであると弊社は考えます。

自分の困りごとは、他人にとってはもっと大きな困りごとかもしれません。

新製品は、思いつきだけではなく、現場の困りごとから生まれます。
そして商品化で大切なのは、すべてを自分でやることではありません。

●誰が企画するのか。
●誰が形にするのか。
●誰の名前で売るのか。
●誰の権利で作るのか。
●どの範囲を自社でマネジメントするのか。
●どこから外部や工場に任せるのか。

ここを整理することです。

次回は、自社製品がある前提で、量販店・ホームセンターへ提案するための 商談資料の作成 についてお話しします。

弊社では、自社製品を家電量販店、ホームセンター、ECモールなどへ提案してきた実務経験をもとに、メーカー様、輸入販売事業者様、OEM商品を販売したい企業様の支援を行っています。

☆量販店に商品を提案したい。
☆ホームセンターに商品を置いてほしい。
☆GMS向けに販売したい。
☆自社製品を作りたい。
☆海外工場を探したい。
☆既存品にアイデアを加えて商品化したい。
☆価格設計や販売後対応に不安がある。

このようなお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。

量販店・ホームセンターへの商品提案支援はこちら

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