自社製品を守りながら、家電量販|ホームセンター|GMSに商品を提案する

知的財産の取得して自社製品を守る

前回の記事では、量販店に商品を提案するためには、良い商品を作るだけではなく、量販店側が安心して取り扱える状態を作ることが大切だとお話ししました。

今回は、その中でも最初に確認しておきたい 知的財産 についてお話しします。

知的財産と聞くと、少し難しく感じるかもしれません。

「特許なんて大企業が取るものでは?」
「商標登録って専門家に頼まないと無理では?」
「まだ小さく販売しているだけだから関係ないのでは?」

そう思う方も多いと思います。

しかし、自社製品を家電量販店、ホームセンター、GMSなどに提案する場合、知的財産はかなり重要です。

なぜなら、量販店に商品を提案するということは、商品が今より多くの人の目に触れる可能性があるということだからです。

商品が広がれば、当然ながら良い反応も増えます。
一方で、真似されるリスクも増えます。

●商品名を真似される。
●デザインを似せられる。
●海外工場や競合から似た商品を出される。
●反対に、自分の商品が他社の権利を侵害していると指摘される。

こうしたことは、商品が売れ始めてから起こることが多いです。

特に、自社で開発した商品、海外から仕入れた商品、OEMで作った商品、自分で企画した商品は、販売前に一度確認することをおすすめします。

知的財産には、主に以下のようなものがあります。

種類守るもの
商標商品名、ブランド名、ロゴ、サービス名
特許新しい技術、仕組み、発明
実用新案物品の形状、構造、組み合わせの工夫
意匠商品のデザイン、形状、外観

この4つを理解しておくだけでも、量販店提案前の準備はかなり変わります。

また、商標や実用新案などは、自分で出願することも可能です。


①商標|商品名・ブランド名を守る

まず最初に確認したいのが商標です。

商標とは、商品名、ブランド名、ロゴ、サービス名などを守るための権利です。

商品名はパッケージ、説明書、JAN登録、EC販売ページ、カタログ、POP、商談資料、広告など、あらゆる場所に使われます。

もし量販店に提案した後、または採用後に、商品名が使えないことが分かったら大変です。

●パッケージを作り直す。
●説明書を作り直す。
●販売ページを修正する。
●商談資料を作り直す。
●在庫品の表示を変える。

これだけで大きな手間と費用がかかります。

商標で注意したいのは、単に「同じ名前があるか」だけではないということです。

商標は、細かくジャンルごとに設定されています。
たとえば、同じような名前でも、食品、家電、衣類、化粧品、サービスなど、どの分野で使うかによって判断が変わります。

そのため、商品名を決める時は、自分の商品がどのジャンルに該当するのかを確認する必要があります。

実際弊社が保有している「Kirei(きれい|キレイ|キレー)」は、某大手メーカーとぶつかり、2年以上かけてようやく認められた大切な商標となりました。

しかし、一般的な言葉や、誰もが普通に使う音・名称は、商標として取りにくい場合があります。

たとえば、商品の機能をそのまま表すだけの言葉や、業界で一般的に使われている言葉は、独占しにくいことがあります。

<例>
・温水洗浄便座
・水圧式洗浄便座
・マヨネーズ
・ソース

等広く浸透している言葉

その場合でも、ロゴの絵やデザインと組み合わせて登録することで、有効になることがあります。

つまり、単なる文字だけでは難しい場合でも、ロゴマークとしての見せ方、ブランドとしての表現、図形との組み合わせによって、商標として守れる可能性が出てくることがあります。

量販店に出す商品であれば、商品名とロゴは早めに確認することをおすすめします。

確認項目内容
商品名使いたい名前が登録できるか、他社権利に近くないか確認します。
ブランド名長く使うブランド名であれば、商標登録を検討します。
ロゴ文字だけで弱い場合、ロゴや図形と組み合わせる方法もあります。
商品ジャンルどの分野の商品として登録するかを確認します。
海外展開将来海外販売する場合は、海外での商標も検討します。

商標は、知的財産の中でも比較的取り組みやすい分野です。

自社製品を守る第一歩として、まず商標を確認することをおすすめします。


②特許|最も強固な財産になり得る権利

続いて特許です。

特許は、新しい技術、仕組み、発明を守るための権利です。

たとえば、今までにない構造、独自の動作方法、新しい制御方法、従来品の問題を解決する新しい仕組みなどがある場合、特許の対象になる可能性があります。

特許は、取得できれば非常に強い権利です。

競合が同じ技術を使うことを防ぐ力があります。
また、量販店への商談でも「特許取得済み」「特許出願中」と説明できれば、商品の独自性を伝えやすくなります。

その意味で、特許は最も強固な財産になり得ます。

ただし、特許には大きなデメリットもあります。

それは、費用と時間がかかることです。

特許は出願すれば必ず取れるものではありません。
審査があり、新規性や進歩性などが見られます。
専門的な書類作成も必要になるため、弁理士に依頼するケースも多く、費用が大きくなることがあります。

また、特許は内容を公開する制度でもあります。
そのため、何でもかんでも特許にすれば良いというわけではありません。

☆自社商品の強みが本当に技術にあるのか。
☆他社が真似したら困る部分はどこか。
☆費用をかけても守る価値があるのか。

ここを考える必要があります。

特許を検討すべき商品は、たとえば以下のようなものです。

特許を検討すべき例内容
独自の機構がある他社商品にはない動きや構造がある場合。
新しい制御方法がある家電製品などで独自の制御方式がある場合。
課題解決の仕組みがある従来品の不便を新しい方法で解決している場合。
技術で差別化している価格やデザインではなく、技術が商品の強みになっている場合。

資金に余裕があり、技術的な独自性が強い商品であれば、特許を検討する価値はあります。

一方で、資金に余裕がない場合や、まずは権利を押さえておきたい場合は、次に説明する実用新案を検討する方法もあります。


③実用新案|形状や構造の工夫を守る

特許が大発明だとすると、実業新案は「小発明」とでもいいましょうか。

実用新案は、物品の形状、構造、組み合わせに関する工夫を守る制度です。

特許ほど大きな発明ではなくても、商品の形や構造に工夫がある場合に関係します。

たとえば、取り付けやすい構造、収納しやすい形、使いやすくするための組み合わせ、部品配置の工夫などです。

実用新案は、特許に比べると取り組みやすい場合があります。

もちろん万能ではありませんが、資金に余裕がない場合や、まずは形や構造の工夫を押さえておきたい場合には選択肢になります。

実用新案で注意すべきなのは、登録されたからといって、ただちに特許と同じ強さで争えるわけではないという点です。

実用新案は、出願後に無審査で登録される制度です。
そのため、権利を行使する際には、技術評価書などを確認し、有効性を慎重に見る必要があります。

簡単に言えば、実用新案を持っておくことで、後で争いになった時に「自社にはこの構造について権利主張する材料がある」という状態を作りやすくなります。

通れば強い特許ほどではありません。
しかし、何も持っていない状態よりは、はるかに戦いやすくなる可能性があります。
仮に特許を取得できる技術等であれば、争いが生じた時点で、特許の審査を開始することが可能(有料)で、認められれば権利を守れます。

実用新案を検討すべき例は以下です。

実用新案を検討すべき例内容
取り付けやすい構造工具なしで取り付けできる、設置が簡単など。
使いやすい形状操作しやすい、持ちやすい、収納しやすいなど。
部品の組み合わせ複数部品の組み合わせに工夫がある場合。
従来品の不便を改善既存商品より扱いやすくする構造上の工夫がある場合。

特許ほど大きな費用はかけられない。
しかし、構造上の工夫を何も守らないのは不安。

そのような場合、実用新案は検討する価値があります。


④意匠|商品のデザインや外観を守る

意匠は、商品のデザイン、形状、外観を守るための権利です。

量販店やホームセンターに商品を提案する場合、意匠はとても重要です。

なぜなら、売場で最初に見られるのは、多くの場合「見た目」だからです。

商品棚に並んだ時。
ECページに掲載された時。
広告で見た時。
YouTubeやSNSで紹介した時。

お客様は、まず見た目で判断します。

形が特徴的な商品。
デザインで差別化している商品。
外観にブランド感がある商品。
競合商品と見た目で違いがある商品。

このような商品は、意匠を検討する価値があります。

特に、生活用品、家電、美容家電、トイレ用品、住宅設備、雑貨などは、外観の印象が売上に大きく関係します。

意匠で守れる可能性があるものは以下です。

意匠を検討すべき例内容
商品全体の形状商品の外観そのものに特徴がある場合。
部分的なデザインボタン、パネル、取っ手、表示部などに特徴がある場合。
パッケージ形状箱や容器の形に特徴がある場合。
画面表示製品によっては画面デザインが関係する場合もあります。

意匠を取っておくことで、似たデザインの商品が出てきた時に対応しやすくなります。

もちろん、意匠を取ればすべての模倣を完全に防げるわけではありません。
しかし、権利があるかないかで、相手への牽制力は大きく変わります。

量販店に提案する商品で、見た目に特徴がある場合は、意匠も確認しておくことをおすすめします。


⑤海外仕入れ品・OEM商品の落とし穴

海外から仕入れた商品やOEM商品は、知的財産の確認が特に重要です。

●海外工場が作っている商品だから大丈夫。
●海外ECで売られている商品だから大丈夫。
●他社も似た商品を売っているから大丈夫。

この考え方は危険です。

海外で販売されていることと、日本で他社権利を侵害せずに販売できることは別問題です。

海外工場が作れる商品であっても、日本国内で他社の商標、意匠、特許、実用新案に触れていないとは限りません。

また、OEMの場合は、金型、デザイン、仕様、ロゴ、説明書、パッケージの権利が誰にあるのかを確認する必要があります。

リスク内容
他社商標の使用商品名やロゴが他社の権利に近い可能性があります。
デザインの模倣既存商品の外観に似ている可能性があります。
技術的な権利侵害特許や実用新案に関係する可能性があります。
OEM先との権利関係金型、デザイン、仕様の権利が誰にあるか曖昧な場合があります。
日本市場での確認不足海外では問題なくても、日本では権利確認が必要な場合があります。

量販店に商品を提案した後に権利問題が出ると、大きな損失になります。

×販売中止
×商品回収
×パッケージ変更
×ブランド変更
×取引停止

損害は甚大です。

こうしたリスクを避けるためにも、知的財産の確認は提案前に行うべきです。


⑥自社製品の保護が完了してから開発へ

知的財産の確認は、商品が完全に完成してから行うよりも、製作前または製作途中で行うことをおすすめします。

●商品名を決める前に商標を確認する。
●デザインを固める前に意匠を考える。
●構造を作り込む前に実用新案を検討する。
●技術的な特徴があるなら特許を検討する。

この順番の方が、後から修正するリスクを減らせます。

商品が完成してから「この名前は使えない」「このデザインは危ない」となると、やり直しになります。

そのため、自社製品を作る場合は、以下を確認してから製作を進めることがおすすめです。

準備項目内容
商品名商標として使えるか確認します。
ブランド名長く使う名前であれば登録を検討します。
ロゴ文字だけで弱い場合、ロゴとの組み合わせも検討します。
デザイン意匠で守れるか、他社に似すぎていないか確認します。
構造実用新案で守れる工夫があるか確認します。
技術特許を検討すべき独自性があるか確認します。
OEM契約金型や仕様の権利が誰にあるか確認します。

ここまで確認してから製作に入ることで、後戻りを減らすことができます。

次回は、自社製品がある前提で、量販店・ホームセンターへ提案するための 商談資料の作成 についてお話しします。


まとめ

量販店に商品を提案する前に、知的財産の確認は非常に重要です。

知的財産は、他社の権利を侵害していないことを確認するために必要です。
そして、今後他社からの盗作や模倣を許さないためにも必要です。

主な知的財産は以下です。

種類守るもの
商標商品名、ブランド名、ロゴ
特許新しい技術、仕組み、発明
実用新案物品の形状、構造、組み合わせ
意匠商品のデザイン、形状、外観

商標は、商品名やブランドを守るために重要です。
特許は費用がかかりますが、取得できれば最も強固な財産になり得ます。
実用新案は、資金に余裕がない場合や構造の工夫を押さえたい場合に検討できます。
意匠は、商品のデザインや外観を守るために重要です。

知的財産は難しく見えますが、自分で調べることもできます。
内容によっては自分で出願することも可能です。
ただし、重要な商品や大きく展開する商品については、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。

量販店、ホームセンター、GMSへの提案は、大きな販路につながる可能性があります。
だからこそ、商品を広げる前に、商品名、ブランド、デザイン、技術、構造を守る準備をしておきましょう。

弊社では、自社製品を家電量販店、ホームセンター、ECモールなどへ提案してきた実務経験をもとに、メーカー様、輸入販売事業者様、OEM商品を販売したい企業様の支援を行っています。

量販店に商品を提案したい。
ホームセンターに商品を置いてほしい。
GMS向けに販売したい。
海外から仕入れた商品を日本市場向けに整えたい。
OEM商品を作る前に権利面を整理したい。
商標、意匠、特許、実用新案について何から確認すればよいか分からない。

このようなお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。

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