量販店バイヤーは何を見ているのか?|提案する前に知っておくべき知識

バイヤーは何を見ているの?

非常に多い質問です。
商品提案をする人間は、誰だって商品の良さを説明したくなります。

〇この商品は便利です
〇品質には自信があります
〇他社より安いです
〇海外では売れています

しかし提案する以上、いいものであることは当然で、自身がバイヤーだったらこう思いませんか?

「いいのは分かった。で、何が違うの?」

弊社が実際に言われた痛烈なお言葉でした。
確かにその通りです。

本記事では、実製品がある前提で商談に向けた準備をお話しいたします。


1. バイヤーは提案の何を見ているのか?

弊社がお取引させていただいておりますバイヤー様は、特に現実を見られているように感じます。

バイヤー様が見ていること内容
売れるか売場に置いて本当に売れる商品か(確かな需要はあるか)
利益が残るか量販店で販売する理由と確かなメリットはあるか
ご迷惑をおかけしないか返品、不良、クレーム対応に問題がないか
社内で説明できるか新規の場合、社内で合意を得られる要素はあるのか
継続して納品できるか在庫、物流、納期に不安がないか

当然ですが、バイヤー様は売れる商品を選定します。

ただし、ここでいう「売れる」は、メーカー側が思う売れるとは少し違います。

作り手側は、

〇機能が良い
〇価格が安い
〇他社にない
〇自分たちは売れると思っている

という話をしがちですが、バイヤー様は現場を誰よりも重視されているので

「安心して売れるか?」

ここが最大のポイントとなります。

バイヤー様が見るポイント確認される内容
誰が買うのかターゲット(需要)は明確か
量販店の質に合うか量販店・ホームセンターの客層に合っているか
既存商品と何が違うのか競合商品との明確な違いは何か
売場のどこに置けるのか陳列イメージができるか ※POPや販促ツール
販売員が説明しやすいか短い言葉で商品の良さを伝えられるか
お客様が理解できるかパッケージを見て何の商品か分かるか

当然、現場で働かれている方々は、一般の方に比べ豊富な知識をお持ちです。

しかし、斬新な商品や説明が難解な製品はいくら良くても採用されづらいことが現実です。

売場で見ると、何の商品か分かりにくい。
これでは間違いなく採用していただけません。

説明しにくいからです。

おしゃれなイメージやこだわりなどもいいですが、お客様の前にバイヤー様や現場の方に分かっていただく必要があります。


2. 売れる土台に乗ったら粗利率

量販店は商品をお客様に手に取っていただき、販売する場所です。

当然、利益が必要です。
ここを軽く考えている作り手は意外と多いです。
※弊社も当初は見立てが甘く、ご承諾を頂けないことが多かった

〇うちはこの価格で売りたいです
〇原価が高いので、この卸価格が限界です
〇この価格なら他社より安いです

作り手側の事情。

痛いほど分かります。

しかし量販店のバイヤー職は責任の多さが想像以上です。
〇数多くの従業員を抱える企業の売上のかじ取り役
〇量販店の不動産維持費は巨額である
〇クレームを最初に受け、最後まで対応する必要がある

当然、要求しなければいけない粗利率は非常に高いです。
巨大企業の番頭なのですから、要求が高いことは致し方ありません。

価格面で見られる項目内容
再販価格お客様に魅力的に映るか
卸価格量販店側に残るか
掛率魅力的か ※定価設定製品
利益率店側が扱う意味があるか
送料条件※家電は送料売り手負担が多い
販促費キャンペーンや値引きに対応可能か?販促物は?
返品リスク返品が発生した場合の負担がどうなるか
競合価格同じ売場の商品と比べて高すぎないか

単に安ければいいわけではありません。

・安すぎてもお互い利益が残りません。
・高すぎても売れません。
・利益が薄すぎると、店が扱う理由がありません。

量販店に提案するなら、双方が持続可能なラインを明確に設定する必要があります。


3. 不採用になる商品

メンドクサイ商品は確実に嫌われます。

ここでいうメンドクサイとは、「手離れ」を意味します。
ここで弊社の実例をご紹介いたします。

■弊社が経験した実例
目的:量販店に弊社製品を採用いただくための商談
結果:不採用
商品:水圧式洗浄便座Kirei SG-001
理由:全国の修理受付ができず、常温水での洗浄のメリットを説明できなかった

創業間もない時分から、弊社は日本全国の量販店に提案行脚に伺いましたが、2年ほど採用を勝ち取ることができず、半ばあきらめておりました。

バイヤー様は売れる商品を探しています。
でも同時に、面倒な商品は避けられます。

下記のポイントで弊社製品はなかなか採用いただけませんでした。

不安に見られる点バイヤー様側の心配
不良が多そう|対応できなさそう返品や交換対応が増える
説明書が分かりにくいお客様から問い合わせが増える
問い合わせ先が曖昧店舗や本部に負担がかかる
保証内容が不明確トラブル時に判断できない
返品対応が決まっていない売った後の処理で揉める
安全基準や認証が怪しい販売リスクが高い
パッケージ表示に不安がある売場に出しにくい
店舗スタッフが説明に困りそう販売現場で嫌がられる

この不安が売上・利益の期待を上回ると、その後はありません。


4. 商談資料の重要性

量販店への提案で、商談資料はかなり重要です。
第2項でお話ししたように、商談はボロボロで不採用の連続でした。
記事をお読みいただいてる皆様も、商談資料って製品の紹介資料だと考えておりませんか?

数年間の地道な商談により、鹿児島のホームセンターA-Z様の採用をきっかけに、日本最大級の家電量販店のヨドバシカメラ様にようやくご採用いただくことができました。

何が好転に転じたのでしょうか?

・メンドクサさに対応できる対策を考えた
・自社の特徴を、単純明確な説明文に置き換えた

上記のみでした。

具体的には

〇1年以内の初期不良は製品入れ替え=お客様・店舗の負担軽減
〇ユニットバスで使える電源不要の洗浄便座=現場での説明の簡略化
※あえてユニットバス専用感を出しました

答えはシンプルだったのです。

余談ですが、数年後、電源式のハイブリッド式温水洗浄便座Kirei PLUSという商品を発売しました。
当初のKireiの苦戦が嘘のように、発売開始前から多くの家電量販店様にご採用いただきました。
一度ご採用いただいた企業は、その後の提案がグッと通りやすくなります。

忘れてはいけないことは、商談はバイヤー様に説明して終わりではありません。

バイヤー様が興味を持ってくださったとしても、その後に社内で確認されたり、上長に説明し稟議を通す必要があります。
さらにバイヤー様は関連部署・現場とも調整しなくてはいけません。

商談資料に入れるべき内容理由
商品概要何の商品かすぐ分かるようにする
ターゲット誰に売る商品か明確にする ※具体的に
商品の強み競合との違いを伝える ※一言がベスト
想定売価・卸価格価格と利益を判断してもらう
保証内容販売後の不安を減らす
納品条件物流面で対応できるか伝える
返品対応トラブル時のルールを明確にする
問い合わせ窓口お客様対応の体制を見せる
パッケージ画像売場での見え方をイメージしてもらう

自社評価ですが、大手家電量販店様|ホームセンター様でお取り扱いいただける作り手の中では、弊社がダントツ最小企業であると考えております。

それでも

〇製品の独自性
〇価格と利益
〇メンドクサさをできる限り少なくする

上記を熱心にお話しできれば、規模に関係なく機会をいただけます。

バイヤー様が社内を説得しやすい資料を用意する。

これがコツなのです。


5. 安定供給はできるか?

量販店に商品を置いていただく場合、1回納品できれば終わりではありません。

バイヤー様は供給体制も見ています。
国際情勢等の影響ではさすがに自力の及ぶものではありませんが、会社都合等で欠品|遅延が発生した場合、ペナルティを課せられるお得意様は多いです。

供給面で見られること内容
在庫安定して在庫を持てるか
欠品リスク売れたときに商品が切れないか
追加注文リピート発注に対応できるか
納期注文から納品まで何日かかるか
ケース入り数出荷単位が分かりやすいか
指定倉庫納品量販店の物流条件に対応できるか
交換品不良時の交換在庫を確保できるか

バイヤー様側からしたら当然です。
売場(棚割という)を割く以上、機会ロスが発生するとそれは損失と同じである。
そこに違う商品を置いていれば機会ロスを避けられたためだからです。

できないことを無理やり行うのではなく、できる範囲を明確にした方が、結果的に話は進みやすいと考えます。


6. 海外工場生産品(OEM・ODM)はさらに厳しく

海外工場の商品を日本の量販店に提案する場合は、さらに見られるポイントが増えます。
この場合は自社製品ではなく、OEM・ODMを指します。

海外OEM・ODMで見られること内容
日本語説明書日本のお客様が理解できる内容か
日本語パッケージ売場で分かりやすい表示になっているか
安全基準日本で販売して問題ない仕様か
認証販売に必要な工程を踏んでいるか
輸入者表示日本国内の責任者が明確か
保証対応不良時に国内で対応できるか
問い合わせ窓口日本語で対応できる窓口があるか
物流継続して日本へ供給できるか
日本仕様日本市場に合う仕様になっているか

海外で売れている商品でも、そのまま日本の量販店で売れるとは限りません。
日本の売場に合う形に直す必要があります。

それ以上に、家電品を何も考えずに日本で販売することは原則違法である可能性が高いです。

日本の家電製造|販売には電安法という法律が存在します。
OEM・ODMを検討されている企業は、専門家への相談を強くお勧めします。


7. 安心して継続的に販売できるものを求めている

量販店の採用を勝ち取るためには「この商品は安心して継続して売れる」に尽きるのです。

見られること内容
商品力商品そのものに魅力があるか
売れる見込みその売場で売れる理由があるか
価格お客様が買える価格か
利益量販店側にも利益が残るか
売場での分かりやすさお客様や販売員に伝わるか
トラブル対応不良、返品、クレーム時に対応できるか
供給体制継続して納品できるか
商談資料社内で説明しやすい資料になっているか

ここまで準備できたら、いよいよ提案しにいきましょう。


まとめ

量販店やホームセンターのバイヤー様は、単に良い商品を探しているだけではありません。

見ているのは、

・売れる可能性
・利益
・売場での分かりやすさ
・商談資料の分かりやすさ
・返品、不良、クレーム対応
・物流、在庫、納品条件
・継続供給
・社内で説明しやすいか
・取引先として安心できるか

です。

商品を良く見せるだけではなく、量販店が安心して扱える状態に整えましょう。

弊社では、自社製品の量販店・ホームセンター提案経験をもとに、メーカー様向けの量販店提案支援を行っています。

「バイヤー様に何を見せればいいか分からない」
「商談資料をどう作ればいいか分からない」
「量販店に提案できる状態か一度見てほしい」

一度お気軽にご相談ください。

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